RPGツクール素材メモ とかティラノスクリプトの話とか

同人RPGの制作で役立ちそうなスクリプト・プラグイン素材を書き留めておく

コミックマーケット(C97)4日目で買った同人誌、感想vo2

個人事業主の事業展開がだいたいわかる本

booth.pm

法人ではなく、個人事業主
つまり床屋や漁師、大体の芸人とかもそう、
そして我らちゃんと納税してる同人屋も区分としてはそうなるだろう、
そして最近では同人で食っていこうとする人もすこーしずつ増えてる印象で、
ちょうど欲しかった知識を取り扱ってそうな本だ、と購入。

ただ内容的には何だろうな、
「頭にスッと入ってくる所」と「そうでない所」の落差が激しい感じが。
書いてる内に”これから個人事業主を始める人”と"既に始めていて、次のビジネスとかも見つけて行きたい人"
とターゲットが混じった感じもして、
例えば本を開いてすぐは個人事業主の定義、貴方の傍にもみたいな話なのに、
その次の章がすぐさま「マーケティング」で、
コトラーが提唱したSTP戦略、更に4P理論、そして4P自体は1960年に提唱されたものでもう古い、
これからは4Cだみたいに提唱する人も(これも1993年だが)
みたいな話があり、イヤきちんと読めばその変遷も頷けるのだが、
なにしろ話が余りにも教科書的、読んでいて全然頭に入らない……
正直、青色申告会で配られる模範的なプリント+αという気分になったのだった。
(これは言っておきたいのだが、恐らく本に使われてるフォントも悪い気がする。
明朝体? で、行と行の間がかなり狭い。
これは見た目はちゃんとした実用書然とするのだが、いざ精読しようとすると、
一行を読んでる時に次の行も目に飛び込んで来て、かなり気が散る様に思えた……)

ただそこを過ぎるとかなり面白く感じて、
これから小規模ビジネスを始めるに当たって、戦略を考えよと。
大企業と同じ事をするな(個人事業主は基本ニッチ業だ)
自分のやりたい事をハッキリさせろ(テニスをプレイしたいって人が、テニス用具の販売員になっても恐らく楽しめないだろう)
みたいな根本から、
利益率は高くあるべきだが、利益率が高いというのは競争が低いという事だ……
といった基本のルール、そして
自分も読んでてとても参考になる、新しいビジネスを起こしたい時の取り組み方、など。

諸君らも何か新しくビジネスを始めようって時にひとまず目標を建てるだろうけど、
この時に重要なのは”幾ら儲けるか”を設定する事だ、というのは初耳で良かった。
そんなん、相手がある事だから達成できないよという気になるが、
だからこそ、その時点で達成した金額と、目標額とのギャップを埋めようと
知恵を絞るようになる。
(”事業主は脳に汗をかいて収益を生み出す”・”個人事業はスポーツだ”と……)

お金が絡む新しい事を始めようなんて、つい動き辛くなってしまうものだけど、
”失敗したからって、どうせ(小規模ビジネスでは)5000円くらいの損”
とサバサバした割り切り方は、なんか気に入った……
(いやお金の損じゃなく、動き出す事自体がもう億劫なんだって、とも思うけど、
まぁ何でも金に換算して、大した事じゃない、という心の在り方も時として有用かと)

つまりは小さく始めて色々試すのだ、失敗なんて恥でも何でもない。
それこそPDCAサイクルでね……と、専門用語も
こういう流れで触れて貰うと、身が入るんだよなあ……と実感。

巻末に付録として付け加えられた文章、
「日本は後進国になっている」
(日本が何か悪い事をしている訳ではなく、むしろ必死に現状を維持しようとしている、
だが他の国が時代に合わせて働き方を変えて行っている中、
日本だけは留まっている→後ろに進んでるのだ、と自分は読んだ)
という所から、
「(本来の日本はそうではなかったのに)大体ここ100年くらい、
サラリーマンを続けていれば安泰という、歴史的に見ても特殊な時代が続いた」
「その為、父も祖父も、お金を貰うのではなく、『稼ぐ』働き方を知らないという事態になった」
(1953年ではサラリーマンは42.4%だったのが、2005年には84.8%に、
と示した右肩上がりのグラフが面白い)
と断じ、もっと日本人もどんどん個人が小口で稼げるようにならなければ、
という想いは熱い。
まぁそうだね……、そうかも知れぬ。

個人開発のはじめかた。ーアイデアを形にして公開するために必要なことー


tyrano.booth.pm
(まだBoothなどでは発売してない模様。代わりに既刊へのリンクをしておく)

ティラノスクリプトの作者さんの自著。
これまでもティラノシリーズのマニュアル本とかは出してこられたけど、
それらを開発した側としての発表は無かった、
最近はエロトラップダンジョンクリエイターとか言って、なぜかツール開発業にもなりつつある111のこと、
これは買わねば、ってなモンである。
残り数冊のギリギリだったけど、買えて良かった。

こちらだが、実際には開発に基づく貴重な知見も含まれているのだが、
唯一の欠点として、
全体になぜか謎の小中学生向けみたいなやさしいテキストで綴られており、
その淡々とした所に紛れ、重要な所が目立ちにくい気もした、かな…

個人開発は(企業勤めと違って)自分で作れば100%の資産だ、良いぞ!
という思い切りの良い姿勢から、
自分の資産になるという事はだ、
そもそも何を目標にして作るかも重要になって来る……と展開。
(ツールを有料販売するとかだけじゃなく、やたらマニアックな技術を試せるとか、
有名IT企業へ入るための名刺代わりに使えるとか、
色々出口は考えられる。
うーむ、固定概念で縛られてる場合、考えて視野を広げる事が、
自由を得られる事にもなるのだなあと)

更に実際に開発に取り組む際の心構え、発売後の諸々な対応、と繋がっていく。

自分はツールの事ばかりで頭一杯になっていたのだけど、
そもそも個人開発といっても何もツールだけじゃない、
Webサービスからスマホのアプリまで、何を作ろうね等々、けして口調を乱さず、多角的に検討……
(ちなみにこれは分野ごとに難易度が☆付けされているのですが、
大体どれも一長一短ある中、オールマイティーの最強扱いなのが
PCゲーム(R18)で、
難易度:☆(かんたん)
開発期間:☆☆(みじかい)
収益化:☆☆☆☆☆(しやすい)
とのランク付け。
まぁ確かにwebサービスとかと比べたら、そうなのか……?)

その他に自分としては、
「アイデアがあると吹聴する人は多いけど、実際に作って公開したってケースは激レア」
という言葉にちょっと励まされたり、
習慣的な事として、
1日1行だけコードを書くようにする(どうせ1行で終わらない)
とかはそうだなあ、と頷いたりね。

あとなにげに実践的な事としては、ツール公開したりすると専用のTwitterアカウントを設けて広報したくなるけど、
初めの内は普段アカと一緒にした方が良いよーだったり
(そっちの方が(少ないだろう)利用者が連絡取りたくなる、応援したくなるという)
有料化しようってなると、責任とか考えちゃって躊躇するよね、分かる(あんま気にしない方がいいよ)
としながらも、
まぁ今は体験版だしてここからは有料とか、支援サイトとか、
良い形で取り組めるプランもあるからねと具体案を示す。
その果てにティラノの成功ってのが見えてるから、ちょっと元気を貰える。
開発は、良いぞ。と。
(ビジネス的に言えば、それは個人資産の運用なのだ……まぁホントに資産かは分からん、
負債なのかも知れん。だがそれも含め、運用の仕方を決めるのは自分というのに違いは無いな)

(しかしよく読むと、作者さんがティラノシリーズを作り出してから収益化するまでには2年掛かってるという、ね……。
これだけで超人みたいな話なんですが、こういうのを普通にさらっと書いて、
次の話題に行くのだよな……
この本にももうちょっと違う意味で、浪花節なメリハリを期待したかったというか、
まぁ背中を押されるような、濃い味付けが好きなので……。)
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*このテキストはエミリアブロマガに寄稿した文章を転載しました。